レポート2019年度活動報告:生活環境デザイン部門2019.3.31

生活環境デザイン部門では、多様な市民の生活環境の視点で、過去からの文脈の持続と、未来の創造につながる新たなデザインの実践と研究を行っています。

未来の創造のために取り組んでいるのが、福祉先進国であるフィンランドのアールト大学と進めているソサエタルデザインの研究です。これは、これからの社会に必要な仕組みをデザインフィクションとして提案・検証するアプローチで、2030年における未来の子育て環境をテーマに、「ファミリーフレンドリーフューチャー」と題し、授業を通じたソーシャルアントレプレナー人材の育成を目指しています。本部門ではこの手法を使った日本での展開の可能性を探求しています。同時に、子育て施策に積極的に取り組む福岡県福津市の行政の協力を得ながら、市民と行政の双方向のソサエタルデザインの在り方について研究を進めています。また、未来をデザインするには過去を知らなければなりません。例えば、建物は生活の場であり、持続可能な発展のためにはこれらを生かしながら新しい都市を開発する必要があります。しかし、特に成長著しいアジアの都市では、過去の文脈は無視され、古い建物は開発の波に飲み込まれて数多く消失しているのが実情です。そうした事態を回避すべく、本部門では「アジアにおける歴史的都市の持続的発展を担う人材育成のための国際交流型環境・遺産デザイン教育研究プログラム」と題して、アジアの都市遺産の保全分野の次代を担う人材の育成に努めています。

以上、生活環境デザイン部門では、過去から未来への時間軸を持って、生活環境デザインにふさわしい方法論の確立を目指しています。