活動「入浴習慣と熱中症予防の関係性」株式会社リンナイと九州大学 未来デザイン学センターの共同研究成果を発表2023.7.10

リンナイ株式会社は、九州大学未来デザイン学センター 西村貴孝 講師の研究チームとの共同研究の成果を、2023年6月16日から18日に行われた日本生理人類学会 第84回大会にて発表しました。

人間が日常的に入浴を繰り返すことで発汗機能や血管拡張機能が向上する可能性を明らかにし、入浴を習慣化することにより、暑熱下での発汗量や血流量が増加することで、体表面からの熱放散機能が向上し熱中症や夏バテの予防に貢献することが示唆されました。

研究の背景と目的

暑さに慣れることで徐々に暑熱環境への耐性を得る暑熱順化が、熱中症の対策に有効であるとされており、日々の入浴は、発汗機能を高め、暑熱順化を促すと考えられています。日常生活の入浴習慣がどの程度、暑熱環境への適応能に関与しているかは十分に明らかではないため、入浴中の発汗を含む体温調節機能を測定し、普段から浴槽に浸かる入浴習慣が体温調節機能の個人差に影響するか明らかにすることを目的としました。

実験方法

健康な男性32名を対象として実験を行いました。実験室の環境は室温28℃、湿度50%とし、浴槽の湯温は41℃に設定しました。対象者は実験開始後10分間、浴室内で椅座位での安静をとり、その後浴槽へ移動し20分間の入浴を行いました。その後、浴槽を出て、再度椅座位で15分間安静に過ごしました。また対象者には入浴習慣に関するアンケートを行い、対象者ごとの入浴のスタイルや入浴時間などを調査しました。

結果と考察

「入浴習慣あり(浴槽に浸かるのが週4日以上)」12名と、「入浴習慣なし(浴槽に浸かるのが週4日未満)」20名の発汗量と血流量を比較すると、「入浴習慣あり」のグループのほうが発汗量が入浴中・出浴後に有意に大きく、血流量が早く上昇している(血管拡張が早い)ことが判明しました。また、これらの結果は年齢や運動習慣、BMIの影響を考慮しても変わりませんでした。以上から、高強度の暑熱・運動負荷トレーニングをしなくても、日常的に入浴による暑熱曝露を繰り返すことで、熱放散機能が向上し、熱中症や夏バテの予防につながる可能性が示されました。

■関連リンク
https://www.rinnai.co.jp/releases/2023/0623/