活動ステキなことを考えるんだ。-プロジェクトは、可能性のデザイン-2024.12.23

2024年12月23日、株式会社Creative Project Base 代表取締役の倉成氏を招へいし、九州大学大橋キャンパスデザインコモンにて、未来デザイン学センター主催で「ステキなことを考えるんだ。-プロジェクトは、可能性のデザイン-」と題して講演会を開催した。講演者の倉成氏は2000年電通入社後、多数の広告、各社新規事業部の新プロジェクト創出支援、APEC JAPAN 2010、東京モーターショー2011他、様々なジャンルのプロジェクトをリードされ、2014年に本業以外に個人的な側面(B面)を持ったメンバーと「電通Bチーム」を組織、2020年にプロジェクト専門会社Creative Project Baseを創業された。このようなご経歴を背景に、依頼されたこと、自主的なことやコラボレーション、規模の大小も様々な「プロジェクトメイキング」について、ご自身が実践されてきた実例をもとにご講演いただいた。講演会には芸術工学部/芸術工学府の学生を中心に42名(内オンライン6名)が参加し、盛況のうちに終了した。

 講演会は、はじめに10文字で自分のキャッチコピーを作るという広告業界ご出身の倉成氏らしいアイスブレイクによって参加者が自然と講演会に引き込まれるとともに、実は、誰に/何を/どのように伝えるかを考える広告の擬似体験であったという仕掛けも準備されていた。その後、初めての国民スポーツ大会となった「SAGA2024国スポ・障スポ」を佐賀県庁など多様なステークホルダーと共に、従来の国体のイメージとは異なるイベントに変革された取り組み、「やりたくなったから」というモチベーションだけで大使館まで巻き込み、異なる国のお米を混ぜたおにぎりを両国の人々が一緒に食べるという「United Rice Ball」プロジェクト、逆転の発想や逆張りなど逆にすることで新たな発想や個性を生みだすことを目的にした「逆塾」等々、倉成氏が実際に行ってきたプロジェクトをケーススタディーとして、プロジェクトメイキングについて具体的なプロセスや考え方について概説いただいた。

 質疑応答では「依頼されずに自主的に始めるプロジェクトのモチベーションはどこから生まれるのか」「倉成氏が電通の中で自由に活動できたのは何故か」「倉成氏が三方良しを考える時に意識されていることは何か」など多くの質問があり、予定の時間を超えて活発な質疑応答が行われた。

 実践系のデザインでは、デザインと多様な分野を融合したプロジェクトの推進や、成果を産業化・実用化し、戦略的に社会へ還元していくことが求められる。また、理系のデザイン系大学の学生は、アイデアや表現だけでなくプロジェクトの基盤をしっかりと構築する力が強みとなる。倉成氏はそのような要請に応えるために必要なスキルや考え方について、具体的な実例と「プロジェクトデザインは土木工事」「川下り型のキャリア」「気づいた人に変える責任がある」などの印象的なキャッチフレーズを示しながらお話しされ、特にこれからデザインで未来を担っていく学生たちにとって非常に有意義な講演会となった。  

講演者

倉成英俊  株式会社Creative Project Base 代表取締役