レポート2019年度活動報告:人間環境デザイン部門2019.3.31

デザインに期待される役割が、ものづくりだけでなくサービスや社会問題の解決、仕組みづくりにも広がっています。そんな中、良いデザインのために重要なのが、「なぜそれが良いデザインなのか」の論理的な説明であり、それを可能にするサイエンスとしての人間や環境への理解です。

こうしたデザインを取り巻く状況をかんがみ、人間環境デザイン部門では研究成果を社会に還元すべく、研究者による直接的な社会実装だけでなく、教育を通して研究成果を吸収した人材の社会輩出や共同研究先を通した還元に重きを置いています。その具体的な取り組みのひとつが、デザイン学の中のサイエンスの可能性とその未来について考える「サイエンスとデザイン」というシンポジウムの開催です。

第1回目となる「サイエンスとデザイン」(2018年3月2日開催)では、生理人類学、プロセス知覚、インタラクティブアート、建築計画という4つのキーワードとデザインの関係について、4つの大学より講師を招き、各分野および大学の最新状況についての講演を実施。デザイン教育の現場でサイエンスにかかわる教員同士での情報交換が図られ、未来のデザイン教育についてディスカッションが行われました。また、第2回目の「サイエンスとデザイン2」(2019年2月22日開催)では、九州大学大学院芸術工学研究院による話題提供に続き、情報コミュニケーション、デザイン心理学、感性情報学という多様な視点からの招待講演を開催。ポスト人間中心デザインの在り方から、感性情報学にも関連するAI技術と創造性の話題に発展した議論が行われました。直近の「サイエンスとデザイン3」(20191220日開催)では、九州大学との共同研究をベースにした企業視点からの話題提供4件が行われ、大学・企業それぞれの強み弱みなどについての濃密な議論を展開。今後の共同研究のさらなる進展が期待される内容となりました。